障害者福祉に携わるものとして、おさえておかなければならないと思っていたのが、優生思想についてだ。障害のある人が子孫を残すことを絶たれるだけでなく、今を生きる障害のある人の存在がただちに否定されるという考え方だ。恐ろしいことだけれど、2016年の「やまゆり園事件」に象徴されるように、今現在の日本にも根深くある思想だ。
藤井克徳著「わたしでさいごにして-ナチスの障害者虐殺と優生思想」を読んだ。
ナチスのT4作戦についてや、日本における優生思想について書かれた本である。
日本の優生保護法には、精神障害者や知的障害者、ハンセン病の人が妊娠した場合に、人工妊娠中絶の規定があった。この規定に則り実施された人工妊娠中絶件数は、確認されているだけて5万8972人となっているという。精神障害者と知的障害者においては本人の意思が無視された。拒むものにおいては、身体を拘束しても、麻酔薬を用いてもかまわなかった。
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(やまゆり園事件の)植松被告が主張するように障害者の存在を否定するのであれば、そらは社会そのものの否定に他なりません。そして、未来の自分自身をも否定してしまうのです。社会のあり方も、個々の人生設計も、障害を抜きには考えられません。
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できることは何か、ということで著者が提唱するのは、まず知ること、そしてわかること、伝えること、動くこと、ということだ。動ける人間になれたらいいな、と思いつつ、動けていない現在の私が出来ることは、まず知るために動くことだ。今から本屋に行こう。
- 作者: 藤井克徳
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2018/09/05
- メディア: 単行本
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