Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

サイバースペースと精神分裂病

現代建築・アウシュヴィッツ以後

現代建築・アウシュヴィッツ以後

飯島洋一著『現代建築・アウシュヴィッツ以降』をスパークリングワインをひとりで一本空けながら読んだ。特に面白かったのは、「サイバーの息子」という章だ。サイバースペースの中には精神分裂病的なイメージがあるという話が書かれている

・「サイバースペースでは、人間は自身の深い記憶、潜在的な意識と遭遇することもある」(マーコス・ノヴァク)

・「あなたはかつてのようなアイデンティティを保っていると思ってはならない。もはやあなたは一つの名前、一つの祖国、一つの時間のなかでは暮らしてはいけないのだ。なぜなら、医学的な再現によるにせよ、あるいは何らかの幻想によって引き起こされるにせよ、あなたの分身たちは至るところに出現するようになるだろうから。理想的にして、統計学的にして、皮肉な存在。分裂病者に春来る!」(ニコル・スタンジェル)

サイバースペースの中で人は「流動的な変身のなかで複数の自我のアイデンティティに開花する。いく重もの鎧は脱ぎ棄てられて、より親密な自我をあらわにする」(マーコス・ノヴァク)

・私の消滅。ただ電子のネットワークだけが世界を構成している。魂はその内部を猛烈な速度で移行するだけなのである。またサイバースペースの中では、忘却していた記憶、人間の知性を超えた記憶に遭遇する。もちろん、新しい記憶も次々に蓄積され、記憶はその度に書き替えられたり、修正されるゆえに、それは止まることを知らない生成の場である。言い換えればこの非物質的空間は、生きている。無意識的であり、魔術的、ユートピア的な世界であり、こう言ってよければ各瞬間に再生し、創造し、進化し、持続する宇宙であり、「開かれた」この場所は、精神的な愛の世界を目指す新しい神であるとさえ言えよう。(飯島洋一著『現代建築・アウシュヴィッツ以後』より)