ディズニー映画をDVサバイバーとして観る
ディズニー映画は、小学生の時以来大人になるまでほとんど見て来なかったのですが、『アナと雪の女王』をきっかけにちょっと興味を持ち始めました。その時代の女性観が如実に反映されている気がして、DVサバイバーの視点で観てみたら面白かったです。いくつか観た感想を書きます。
『アナと雪の女王』(2013年)
これはDVサバイバーには、共感できるところが多い作品だと思います。エルサとアナという二人の主人公の姉妹の愛の物語で、男女間のロマンスも物語の要素ではありますが、主軸になっているわけではありません。姉のエルサは強いパワーを持っているけれど、その力を出すことを自分で抑えて生きていました。ある時、そのパワーをコントロールできず、その力がまわりの人に知れてしまいます。逃げ出したエルサは自分の氷の宮殿を作り、そこに閉じこもるのですが、一方で、自由でいられるよろこびを感じ、自信を取り戻します。
結婚し、仕事を辞めて家庭にいながら育児をし、夫のパワーのコントロール下に置かれて不自由を味わっていた女性が、そこから逃げ出し、自分を取り戻していくストーリーと重なり、まだ夫のもとから逃げ出すことが出来ていない段階の人にも、その勇気を与えるような映画だと思います。
『塔の上のラプンツエル』(2010年)
これも、塔に閉じ込められて、不自由な生活を送っているラプンツェルと、家庭のイメージが重なりました。DVの種類の中の社会的隔離のイメージです。
『美女と野獣』(1991年)
主人公のベルは、本が好きな娘でした。英国ガーディアン紙の記事で、ダービー大学の研究者が「シンデレラ」を読みすぎた女子は、将来破滅的な恋から逃れられない恐れがあると発表していたのを思い出しました。パートナーから虐待を受けた女性を調査したところ、忍耐、同情、愛情で相手の行為を変えられると虐待に耐えていた女性が多かったというものです。
DV夫と結婚する以前の私も、少なからず夢見がちな部分があり、なんだか昔の自分とベルがかぶりました。王子に変身した野獣がDV男にならないことを祈ります。
『リトル・マーメイド』(1989年)
自分自身を美しい声と引き換えに人間の姿に変えてまで、王子の愛を得たいと思う人魚の女の子。男に気に入られるためにはなんでもするという健気な女性を好きな男は、なんでも自分の思い通りにさせたいという欲求も強いかもしれないな、など思いながら観ました。
『不思議の国のアリス』(1951年)
人の意見に左右されず、自分でものを考え、意見もはっきり言える強い女の子。アリスはいつも素敵です。
『シンデレラ』(1950年)
『白雪姫』(1937年)
これは、もう半世紀以上前の作品に関わらず、現代も男性が求めている理想の女性像なのかな、と思います。
『ポカホンタス』や『ムーラン』もまた観たら追加したいと思っています。