Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

人質事件と冤罪事件

先日、同じDV被害体験を持つ友人の家に遊びに行きました。彼女の本を見せてもらったらDVや精神医学、心理学関係の本が多く、私が読んだことがあったり持っている本と同じものもいくつかありました。「自分の身に起こったこと、これからどうしたら良いかを知る手がかりになるものについて情報を集めたい気持ちは皆同じだな」と改めて納得しつつ、薦められた本を何冊か借りて帰りました。

人はどのような苦境に置かれても、自らが置かれている状況を理解でき、それを引き受ける意志と意欲があるかぎり、その状況を生き抜いていくことができる。しかし、詳しい説明もなく「身に覚えがない」状況に追い込まれることは、生きる足場を奪われ、自己崩壊の危機に立たされることにほかならない。(春日キスヨ著『変わる家族と介護』

 引用したのは、孤立する高齢者について書かれた文章の一部ですが、DVの場合もこれと一緒です。なぜ自分が責められるのか、理由がわからないというのは、わかって責められることの何倍も恐ろしいことです。だからこそ、DV被害者は理由を知ろうと何冊も本を買ったり、情報を集めたりします。情報を集めた結果、大雑把に言ってしまうと「DVに理由はない」ことを知るのですが、それを知った上でも、人間という不可解な生き物について、自分自身を知るためにも、DVに「理由はない」という解のみでは飽き足らず、なぜ夫がそうなってしまったのか、生い立ちに関係があるのか、加害者が生み出されないためにはどうしたら良いのかわかるものなら知りたいと思い、調べ続けます。

「身に覚えがない」ことにより、冤罪によって50年近くも死刑囚として拘束されてきた袴田巖氏の実話をもとにした映画BOX 袴田事件 命とはを観ました。私は、不貞を行った有責配偶者とされている(まったくの冤罪)ため、ある種のシンパシーを感じつつ冤罪事件に強く憤りを感じています。

人質事件とかテロ対策とか世間が騒ぐ以前から、袴田さんにしてもそうでしたが、沖縄闘争の星野文昭さんなどいまだに冤罪で獄中にあり自由を奪われている方がいるのですが、そちらはちっとも騒がれない(騒がれなかった)ことを疑問に思います。私には、国内で国家が公然と人質をとっているのと同じことのように思えてなりません。


映画『BOX 袴田事件 命とは』予告編 - YouTube

変わる家族と介護 (講談社現代新書)

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