- 作者:佐瀬 睦夫
- 発売日: 2016/03/02
- メディア: 新書
コロナ禍において、飲食関係や首を切られた非正規雇用の失業者が増えている。それでも、福祉業界は人手不足だ。
なぜなら、7K(キツイ、汚い、危険、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、休暇がない)だからである。
私は福祉の仕事をしているけれど、まさに7K。嘘偽りはないと思う。だから離職率も高いのだ。
社会的ステータスも、きれいごとを言わないとするなら、ズバリ低く見られている。肉体的にも精神的にもきつい仕事に関わらず待遇も低く、さらに一般の評価が高くない。この仕事を続けている人はすごいなぁ、と思う。
私はといえば、福祉の仕事内容は、喜びもあるから好きなのである。それなのに、上に挙げたような七重苦諸々で、いつも辞めた方が良いかな、と思い、苦しい気持ちと好きな気持ちを行きつ戻りつしているのだ。
慢性的な人手不足により、辞めると言うことすら、私がほかの業界で働いていた時より勇気のいることだ。欠員を埋めるため、ほかの人にかかる皺寄せが大きい。ただでさえ休日出勤や残業が続く同僚に申し訳ない。
というわけでこの本を読んでみたのである。
著者は完全週休2日制にこだわり、有給休暇や休日出勤の代休を取りやすい環境にすることなどの施策が仕事への誇りにつながる、と考える。また、仕事を通じて人格形成や精神的成長をし、プライドを保ちながら福祉・介護の仕事が社会的ステータスを得られるだけの環境を作っていくことが大事と主張する。ネガティブ7Kをポジティブ7K「希望」「期待」「感謝」「感動」「感激」「可能性」「快感」に変えることが出来れば、働く人が幸せを感じる職場になると言う。
確かに私はポジティブ7Kも、実際仕事の中で感じている。
福祉の仕事の持つ専門性が、正当に評価される世の中になると良い、とただ願うだけではなく、実際にアクションを起こさなければならないのだろうな、と思う。