離婚を描いた児童文学を父の日に読む
- 作者:松谷 みよ子
- 発売日: 2012/01/17
- メディア: 文庫
今日は父の日だ。
子どもがいても離婚するカップル、ひとり親家庭は多いのに、離婚を描いた児童文学はまだまだ少ない。だから、〈モモちゃんとアカネちゃん〉は、少しだけ古さは感じるものの貴重な離婚を描いた作品だ。
著者の松谷みよ子も、二女が1歳半の時に離婚しており、その最中でこの幼年童話を書いている。
松谷みよ子作『アカネちゃんのなみだの海』の中には、ママが書いた絵本を小2のアカネちゃんが夢の中でよむシーンが出てくる。
「これをごらん。」
おばあさんはふりむいて、二本のかれかかった木がうわっている植木ばちをとると、わかいおかあさんのまえにおきました。
「このはちが、おまえさんの家庭だよ。ふたりともつかれて、かれかかっている。」
わかいおかあさんは、じっとはちを見つめました。
「死に神がきたから、かれてきたのではないよ。くたびれたから、かれてきて、死に神がきたんだよ。」
わかいおかあさんはうなずきました。
おばあさんは、植木ばちから二本の木をひきぬくと、よく根っこをあらいました。それから森の土をほって、一本ずつ、べつべつにうえました。
すると一本の木はみるみるはっぱをしゃんとさせ、すくすくとのびはじめました。
もう一本の木も、はっぱはしゃんとしましたが、あるきはじめたのです。(『アカネちゃんのなみだの海』より)
この描写に、少し救われた気がした。家族神話も今以上に強かった頃の作品だけれど、お互いを生かすための決断としての離婚の側面をしっかり表現していると思う。
ここのところ娘に離婚のことを少しずつ伝えている。