Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

保育者・中川李枝子・岩波少年文庫

私が作家になったのは、どちらかといえば幸運な偶然のなりゆきで、私がまず目指していたのは保育者になることでした。それも、「デモシカ先生」ではなく、理想と信念を持った日本一の保育士になるという、夢です。
実は『いやいやえん』も、書いたときから、内心では私の保育理論のつもりでいました。それだけに、幼児教育を専門とする方が教科書にして下さると聞いたときは、最高の栄誉に浴した心地がしました。(中川李枝子著『本・子ども・絵本』)

ぐりとぐらで有名な中川李枝子さんの『本・子ども・絵本』を読みました。引用したように、中川李枝子さんは、17年間東京の保育園の保育士として働いていました。中川さんによる傑作の数々は、保育士として子どもを観察することにより生まれたのです。

このエッセイには、中川さんの幼少期からの本との関わりや、保育士としての経験により感じた子どもという存在についてなどが書かれてあり、絵本、児童書や幼児教育に関心のある私にはかなり面白く読める本でした。

中川さんは、戦時中も豊かな読書経験を持てる環境にあり、特に岩波少年文庫が大好きだったようです。保育士となってからも少年文庫は、子どもを知る上で、最良の心理学入門書、育児の教科書として役立ったとのこと。『本・子ども・絵本』を読むと、とにかく岩波少年文庫が読みたくてたまらなくなります。私も子どもの頃、岩波少年文庫を1冊1冊、わくわくしながら集めては大切に読んでいましたが、中川さんが岩波少年文庫について語る文章を読むと、当時の自分の気持ちがよみがえるようでした。岩波少年文庫のガイドブックとして読むにも良い本でした。

本・子ども・絵本

本・子ども・絵本