「あの劇作家アーサー・ミラーが児童書を書いていたとは!」と思い手にとった『ジェインのもうふ』。女の子が愛着の対象としているお気に入りの毛布の話。子どものぐんぐんと成長するスピードがテンポよく感じさせられるお話でした。かたちあるものは姿を変えてしまうけれど、思い出は心の中にずっと生き続けるというテーマです。
アーサー・ミラーはマリリン・モンローと結婚したことでも有名ですが、マリリンとの間に子どもはいなかったよな、と調べると、1962年に写真家インゲ・モラスと再婚していました。1962年に誕生した娘レベッカ・ミラーはその後映画監督になり、1966年生まれの息子ダニエルはダウン症であったようです。この本の出版は1971年、実際に書かれたのは何年かわかりませんが、アーサー・ミラーが50歳近くになって出来た子どもに刺激を受けて書いたお話なのだと思います。
このダウン症の息子、ダニエルのことをミラーは書いているのだろうかと気になりましたが、アーサー・ミラーは彼のことを公にすることを嫌い、生後1週間で施設に送ってしまったようです。知的障害を持った息子についての著作がある大江健三郎のようにアーサー・ミラーもまた書いていたら読んでみたかったのに。反体制の社会派というイメージがあった人だけにちょっと残念でした。
- 作者: アーサー=ミラー,アル=パーカー,Arthur Miller,Al Parker,厨川圭子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1971/03
- メディア: 単行本
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