Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

中立的立場が意味すること

お盆休み、DV・モラハラの被害者にとって、普段の日より苦痛なものになるかもしれないことはゴールデンウィークや年末と同様だ。お盆は実家を含むイベントであることを考えると、夫の実家に行って普段以上の苦しみを味わっている被害者が大勢いるのだろうと思う。被害者が夫の実家で夫の両親を味方につけられるというのはレアなケースだから。

信田さよ著『加害者は変われるかーDVと虐待をみつめながら』を読んだ。私は第三者にDVやモラハラについて話す場合、相手がどんな考え方を持っているか慎重に探りをいれる。そうしないと二次被害に苦しむことになるからだ。支援者の顏をして加害者に同情的な人は少なくない。ということで、この本も、著者はどういう立場なのか疑い深く読み始めた。仮に「加害者は変われるので、加害者にも救いの手を」というような内容とわかったら、私は誤った言説がまた本というかたちで世に出てしまったと嘆き、反論をする姿勢に変えて本を読み続けると思う。

結果、この著者は加害者に対するアプローチへの希望は持っているにしても、軽率な人ではなかった。ACのグループカウンセリングなども実施してきた著者は、慎重に被害者と加害者の両方に関わりつつ葛藤しながらもDVの全体像をとらえようとしている。

興味深かったのは、カウンセリングや心理療法の基本を学んだ人ほど、中立的立場、被害者側にも加害者側にも偏らず、基本的には両者の中間点に位置するということだ。つまり、なまじカウンセリングや心理療法の基本を学んだ援助者は、加害者と被害者の中間点、もともとが非対称的関係性においての中間点なので、加害者側に寄った位置に立っているということ。このおかしさに気付いた著者は、中立的立場を放棄し、ためらいなく被害者側に立てるようになったという。

本には、映画の考察もあり、牧師である父から虐待を受けて育ったベルイマン監督によるサラバンドダルデンヌ兄弟による息子のまなざしという映画の考察部分もあり、それが面白く、映画を観てみたいと思った。 

加害者は変われるか?―DVと虐待をみつめながら

加害者は変われるか?―DVと虐待をみつめながら

 
サラバンド [DVD]

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息子のまなざし [DVD]

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