西原理恵子作『女の子ものがたり』は、モラハラ、DV被害に遭った人には特に心に響くものがたりだと思う。
この話に出てくる主人公なっちゃんやなっちゃんのお友達の親たちはそれぞれのかたちで苦労をしていて、その中でたくましく生きる子どもの姿が描かれている。でも、その子どもたちが大きくなってやっぱり繰り返されてしまう悲しい生活。そのことに気が付かないで幸せだと思い込んでいる女の子たち。貧しい家庭に育って、特にそれが田舎だった場合…。おそらく今現在もたくさんこんな女の子がいるのだと思う。その中でなっちゃんは環境に埋没し、感受性を失ってしまうことはなかった。街を出るのである。
街を出るなっちゃんは、DV・モラ夫と決別する決心をした自分自身と重なる。映画化もされていて、映画の方はきれいな映像、きれいなキャストながらもきちんと原作の悲しさと温かさが伝わってくる。
なっちゃんは街を出て、自分の夢を実現させるわけだけれども、DV・モラハラ被害者の人もいくら齢をとっていても遅くはない。早く加害者と決別し、夢を持って第二の人生をスタートさせて欲しい。これは自分に対しても言いたいことである。