Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

DV被害者の実情と生活保護について

DV被害者の無職率は3割ほどで、収入源を生活保護としている人は同じく3割ほど。一般母子家庭よりもDV被害者の生活保護受給率のほうが高くなっているようだ。

DV被害者の多くは相手の追跡から逃れるためなどの理由でそれまでの仕事を辞めている。高齢になってから、もしくは幼い子どもを連れての別居となると、再就職は容易であるはずがない。

DV被害者は、とりあえず命からがら別居するのだけれど、もちろん加害者は協議に応じるような人が少ないので、非常にストレスの高い調停や裁判を長年繰り返すことになる。

弁護士費用は、法テラスを利用して借りることはできるけれど、それはあくまでも借金となる。ただでさえ母子で生きていくのに精いっぱいなのに、調停や裁判を経ることで、最低でも60万ほどの借金を背負ってしまうのだ。

DVで慰謝料をとれるケースも稀だし、養育費も必ずもらえるとも限らない。事実上母子家庭でも、離婚が成立していない以上、母子の手当も受けることが出来ない場合が多い。

そんな被害者が生きていくための「最後のセーフティ・ネット」であるはずの生活保護なのだが、これまた申請書類を役所がなかなか受け付けてくれないし、保護費を削減すべきという論調も強い。(日本の生活保護費は先進国の間では最低レベルというのに!)

日本という国は、どうしてここまで弱いものに冷たいのだろう。在日外国人には更に冷酷だ。

不正受給事件だけが目立ち、生活保護に対する偏見がまかり通る社会に、DV被害者含む社会的弱者は強く立ち向かわなければならない。

生活保護の理不尽な実態と問題点をもと官僚の著者がついた生活保護の謎』は、生活保護受給予定があるなしに関わらず一読の価値ある一冊だと思う。

「仕事をしていても、若くて健康でも生活保護は受けられる」「預貯金がまったく認められないわけではない」「生活保護費の大半は、受給者の生活費に使われていない」というようなことを知らない人は多いのではないだろうか。私はイメージだけで生活保護というものを誤解していたので、この本を読んで実際のところを知り、目から鱗が何度も落ちた。生活保護を申請する人に、知っておいて欲しいことを下記にまとめる。

生活保護申請時の心得

  • 生活保護は「生活レベルが基準以下」であり、「生活保護の申請」がされていたら受給できる。
  • 生活保護を受給できずに餓死したりする人がいるのは、「役所が生活保護の申請をさせない」からだが、役所がいくら申請させまいとしても、当人が頑として申請をすれば、それは必ず受理される。
  • 福祉事務所で生活保護申請をする場合は話をしながらメモをとること。(裁判の証拠になりうるから諸金は下手なことが言えなくなる)
  • 申請書を渡されなければ、明確に「生活保護を受けられる条件があると思っているので、申請書をください」と言い、申請書をもらう。
  • 申請用紙をもらえない場合は自分で作成し、内容証明郵便で出す。
  • 役人は、弱い者には横柄で、強い者には卑屈になる傾向があるので、弱気にならない。本来、生活保護の申請を窓口で追い返すことは違法行為なので、堂々とすること。
  • 弁護士なら確実に手続きをしてくれる。生活保護の申請に関して、弁護士費用はほとんど無料で相談できる。
  • NPO法人に相談する場合は、貧困ビジネス化したNPO法人もあるので注意すること。

最後に、事実、自分が生活に困っていても、生活保護を受給することが恥ずかしいと抵抗を感じる人がいたら、それは自分の中にある偏見が自分自身の首をも締めているということに気づいてほしい。もし自分が生活に困っていなかったら、生活に困っている人が生活保護を受給していることについて「税金の無駄遣いだ」「怠け者だ」「恥ずかしい存在だ」などと疎ましく思うのだろうか。「最後のセーフティネット」として生活保護を受給することは立派な権利だ。

 

生活保護の謎(祥伝社新書286)

生活保護の謎(祥伝社新書286)