DVチェックリスト
モラル・ハラスメントというものがあることを世に知らしめてくれたマリー=フランス・イルゴイエンヌ。彼女がいなかったら、私はどうなっていたかわかりません。彼女の本がフランスでベストセラーになり、世界にもモラル・ハラスメントの実態が広まりました。そんなに昔ではない1998年のことです。私は、モラル・ハラスメント関係の本を読み、加害者である私の夫のような人が日本だけではなく世界中に存在すること、自分と同じように苦しめられている被害者が加害者と同じ数だけ存在することを知りました。一人ではない、と思えたこと、こんなに人に説明しにくい状態をきちんとわかってくれる人がいる、ということにどんなに勇気づけられたかしれません。
『殴られる女たちードメスティック・バイオレンスの実態』は、マリー=フランス・イルゴイエンヌのクライアントの具体例をみながら、ドメスティック・バイオレンスの実態を説明する本です。私が持っていたフランスのイメージと言えば、恋愛の国で、結婚という形式にとらわれず、スマートに何歳になっても恋愛を愉しんでいる、男女間のことにおいては日本よりだいぶ進んでいるというものだったのですが、どこも一緒なのだということにまず驚きました。お国がフランスであろうと、本の中の加害者をそのまま私の夫に置き換えることが出来たからです。さすがは、原典を書いた人だけあって、内容は力強く的確なものでした。私がインターネットでかつて調べたDVチェックリストとはまた違うチェックポイントが書かれてあったので、抜粋して書いておきたいと思います。私の夫の場合、ほぼすべてに当てはまるのですが、特に小見出しの「悪質なナルシスト」タイプだと思いました。
DVチェックリスト(※『殴られる女たち』を読んで私Coulterがまとめたものです)
責任逃れ
- 何か問題が起こるお自分には原因がないと主張してパートナーに責任をなすりつける。
- 怒りを爆発させたり侮蔑するような言葉を吐いておきながら、自分の失態を正当化するための言い訳としてパートナーの態度を指摘する。
- 自分からもめごとを起こしておきながら平然と被害者のような振りをする。
- 不幸だった子ども時代の話をしたりして、相手に同情心を抱かせようとする。
いつも癒されていたい
- 常にパートナーに見つめられていたい。
- 「大丈夫?」と声をかけ、気遣っていてほしい。
- 褒められるのは好きだが、批判されるのは大嫌い。
- 何かあると、「あなたは悪くない」と言って、安心させてもらいたい。
捨てられるのが怖い小心者
- 捨てられるのではないかという子供じみた不安のために、常に神経が張り詰めている。
- 別れを連想させるような状況や場面は、どんなことであれ彼らの気分を害し、不安に陥れ、怒らせ、イライラさせ、嫉妬深くさせる。
- 自分で勝手に不快感を引き起こしておきながら、すべてパートナーのせいにして当たり散らす。
女性をロボットのようにコントロールしたがる
- パートナーと健全な関係を保つための距離の取り方を知らない。
- 女性を自分の所有物と勘違いしている、
- ひたすらパートナーと自分を一体化しようとして、分かち合うのではなく、独占する愛で支配し、一足す一が一になるような息苦しい関係を築きたがる。
悪質なナルシスト
- 常に賞讃されていないと気がすまず、批判には耐えられない。
- 理想が高すぎて現実の自分とのギャップに失望し、無力感に襲われることが多い。
- 他人には無関心だが、相手を侮辱し、弱みに付け込みながら利用することにはたけている。
- 誇大妄想ゆえに、善と悪を知り尽くしているような顔をして、説教じみた態度をとる。
- 自分こそが一番と思い込んでいたいために、ありとあらゆるもの、周囲にいる人という人を批判し続け、何か否定的なことが起きると、他人に責任をなすりつける。
- 人の感情には鈍感で、自分が相手を傷つけていてもなんとも感じない。
ボーダーラインぎりぎり
- 人間関係は常に言い争いの危険性をはらんでおり、不満や不足を感じるや相手を破壊してやりたいという欲求が生まれ、実際に破壊的な行動に出ることで内面の緊張を解こうとする。
- 破壊的になるのは自分自身に対しても同様で、怒りが沸き起こると感情の爆発を抑えるためにアルコールや麻薬に頼ったり、自分の体に傷をつけたり、自殺未遂を起こしたりする。
- 周囲の否定的な態度を異常に気に病み、パートナーからのささいな指摘や非難にも過敏に反応してすぐに気を悪くする。
- 自分を引き立てようとして取った行為が無視されると、相手を激しくおとしめる。
- 常に相手に安心させてもらっていないと不機嫌になり、自分からは桁外れの要求をするのに、パートナーのほうから寄ってこられると依存されるのがいやで暴力に訴える。
- ひとりぼっちも嫌いだが介入も好まない彼らは、カップルの関係より男どうしでつるんでいるのが好き。
- 自己評価がきわめて低いために、パートナーの愛をキープしようとして並外れた野望を抱いたりするが、女性に拒絶されそうになると、実際に逃げられるのを恐れて、先手を打って捨てられる前に捨てようとする。
- 他人との接し方は極端で、情熱的に愛し、理想化する一方で、相手から少しでも距離を置かれたり、批判的な態度を見せられたとたんに著しく評価を下げて、しまいにはばっさりと関係を断ち切る。
- 自分が依存している相手に関しては、強い両面感情を見せ、フラストレーションをうまくコントロールできなかったり、ちょっとした衝突で苛立つと、度を越した怒りを爆発させる。
自分の欲だけで女性を選ぶ
- 自分の欲を物差しにして女性を選ぶ。
- 活力にあふれた生き生きとした相手を選び、吸血鬼のように彼女の持つエネルギーを吸い取って、かわりにエネルギーをいくための源にする。
- 物質的な豊かさに目をつけて、「かも」として選び取る。
- パートナーは人間ではなく、自分を引き立たせるモノとして存在し、自分の負のエネルギーを追い払って、かわりに正のエネルギー源とする。
- 他人の成功は自分の失敗を浮き彫りにするものとしか考えられない。つまり、他人にも自分自身にも満足することがない。
- 何ひとつうまくいかず、すべてが混乱しており、すべてが試練に感じられ、常に文句ばかり口にして、身近な人間に否定的なものの見方や不満を押し付ける。
不安に取り付かれている
- 完璧主義で、なんでも完璧にしたがるために、細かいことにこだわりすぎる。
- 社会生活においては順応主義で習慣や法律もきちんと守る。
- 私生活では要求が強く、支配的で自己中心的。
- ケチ。
- 感情の爆発をいつも恐れている。
- 自分はとてもまじめで、自分以外のすべての人たちが無責任で軽率なのだと思っている。
- 自分のやり方がいつもベストだと思いたいだけに、パートナーが自分のルールを邪魔したり、何か失敗するのではないかと、常にすべてをチェックし、批判する。
- 他人の風変わりな行動は許せず、理屈をこね、自分が主導権を取れないとことごとく相手の行動にブレーキをかけようとする。
(マリー=フランス・イルゴイエンヌ著『殴られる女たちードメスティック・バイオレンスの実態』より)
殴られる女たち―ドメスティック・バイオレンスの実態 (サンガ新書)
- 作者: マリー=フランスイルゴイエンヌ,Marie‐France Hirigoyen,松本百合子
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2008/05
- メディア: 新書
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