病院なんか嫌いだ ―「良医」にめぐりあうための10箇条 (集英社新書)
- 作者:實, 鎌田
- 発売日: 2003/10/17
- メディア: 新書
おそらく、どんな職場でも理想を持っていると、仕事をする中で現実とのギャップに苦しむことになる。特に福祉や医療は、効率を求め、システマティックに、やっているだけでは良い仕事と言えない。
「枠の中でジレンマを抱えたら、課題分析し、制度を変えていく」ということは文字通り理想的だけれど、様々な人の利害や思惑が絡んだりして、なかなか難しい。色々な意見の人がいるし、多数決が良いとも限らない。
『病院なんか嫌いだ』を読んだ。
ここ最近、福祉職の大変さを考えることが多かったが、医療の仕事も大変だ。
医療者はコロナ禍前から余裕なく悪条件の中で働いていた。そこにコロナが到来し、命を落としたり燃えつきる医療者も多い。
医師、看護師ではないが、私の持つ社会福祉士の資格でも、医療現場で働くことは可能だ。医療ソーシャルワーカーというポストがある。
社会福祉士の資格をとった時、数ある仕事の選択肢の中で医療ソーシャルワーカーを選ばなかったのは、ベッドコントロールに追われ、精神的にきついという話を聞いたからだ。辞める人が多いのか、経験を問わず、資格だけで応募できる医療ソーシャルワーカーの求人も割と多かった。
『病院なんか嫌いだ』を読んで、やはり医療ソーシャルワーカーは、聞いていた通り大変そうだと思った。医療現場自体が大変なのだ。
そんな中で理想を保ち続け、きちんとより良い医療を実践している鎌田實先生の姿には頭が下がる。
冷たい医療ではなく、心ある医療を提供したいと、苦しみながらも奮闘している医療ソーシャルワーカーもきっと多くいるのだろう。
引き続き鎌田先生の著作を読んで医療についても考えていきたい。