Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

精神鑑定の事件史

私は同居中、夫から頭がおかしいと言われ続けましたが、私の方でも夫のことを、何か病を抱えているのではないかと思っていました。なぜなら、夫は私が実生活の中で知り会った人の中でもっとも冷酷だったからです。

夫が何らかの障害を抱えていてもいなくても、夫の行為の恐ろしさには変わりありません。でも、精神に異常があったものと考えるほうが、病のせいにできて楽かもしれない、という複雑な感情もまた自分の中にあります。嘘か真か真相はやぶの中にある状況で専門家がどのように犯罪者を鑑定するのかは、私にとって他人事とは思えない関心事です。嘘が巧みなDV・モラ夫に司法関係者が騙されてしまったら本当は被害者なのに加害者とされてしまうかもしれないからです。司法精神医学の専門家・中谷陽二『精神鑑定の事件史-犯罪は何を語るか』を読んでみました。

刑法第39条では、「心神喪失者の行為は罰しない。心身耗弱者の行為は、その刑を減軽する」と定められており、犯罪を犯した人物は、刑事責任能力があるかどうか精神鑑定によって問われます。レーガン元大統領暗殺未遂事件や、ビリー・ミリガンの事件などは「精神異常による無罪」とされました。この二つの事件を含め、鑑定人を悩ませた有名な事件が、豊富な資料と共に詳細に分析された本でした。異常な事件の犯罪者のプロフィールを読むにつけ、近くにもこんな人いそうだな、と思ってしまいました。大量殺人犯のプロフィールには夫と共通している部分をみつけ、ぞっとしました。犯人の詐病もあり得るし、精神鑑定は非常に難しく、最終的に真実はわからない謎解きです。そんな精神鑑定の舞台裏を知ることの出来る格好の読み物でした。

精神鑑定の事件史―犯罪は何を語るか (中公新書)

精神鑑定の事件史―犯罪は何を語るか (中公新書)