Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

マルチプルインカムの暮らし方-生き方の選択

上野千鶴子と辻本清美の対談『世代間連帯』を読んだ。

例えば日本は、「2009年のデータで、働くひとり親世帯の子どもの貧困率が、OEDC諸国のなかでトルコに次いで上から2番目ということ」や、「国の教育にかける費用が、GDP比における国と自治体を合わせた教育への公的支出の割合でみたら、OEDC28か国中最下位であること」など、具体的なデータが多く引用され、そのことにどう対処していったら良いのかの具体的な提案が両氏によってなされる、またそれらの提案が希望となり得るとても勉強になる本だった。

テーマは仕事、家族、医療や介護、税金、経済の問題までと広く、現代日本社会を他国とも比較しながら捉えることが出来る格好の本だと思う。テーマの割にはきちんとした説明もなされ、わかりやすい言葉で語られているので、決して難解ではない。

面白いと思ったのは、上野さんが提案している、多角経営型マルチプルインカムの暮らし方。

将来ありうる暮らし方は、多角経営のマルチプルインカム。もはやシングルインカムでも、ダブルインカムでもなく、マルチプルインカムの持ち寄り家計。その一部に公的年金や公的給付があり、暮らしの下支えはするが、それだけでは十分ではない。パートや有償ボランティアをしたり、パソコン教室の講師をやったりして、小銭をかき集めて、そこそこ年収300万の生活水準を維持すればよいと思う。それに家庭菜園をやって夏のあいだは野菜を買わずにすむとか、米は実家から送ってくるとかいう、現物経済と贈与経済が含まれる。上野千鶴子・辻本清美『世代間連帯』)

私は、今こそ安定を求めらければならない、そうでなければ子どもを貧困に巻き込んでしまう可能性があるという現在のような状況になってもなお正社員として一生その会社で働くという働き方を選びたいとどうしても思えないので、とても共感でき、理想とする暮らし方の提案だった。

お金はあった方が良いに決まっているけれど、まずは生活が出来て、子どもがお金が無いことによってみじめな思いをしたり、得られるはずの機会が得られないというようなことにならければ良い。でも、こんなささやかな願いさえも叶えられる保障はないという中で、私は生き方の慎重な選択を迫られている。

世代間連帯 (岩波新書)

世代間連帯 (岩波新書)