Ally Bally Bee

夫のDV・モラルハラスメントから逃れて娘と二人暮らし。全ての人が生きやすい社会になることを願いつつ、今ひとり親 として出来ることをあらゆる角度から考えていきます。

『子どもの連れ去り問題』を読んで

この本を手に取って読むことになったのは私の勘違いからだ。私は現在子どもが保育園から実力で夫に連れ去られることを恐れているため、『子どもの連れ去り問題ー日本の司法が親子を引き裂く(コリン・P・A・ジョーンズ:著)というタイトルを目にしたとき、自分のような母親の参考になる本と思った。最終的に、この本は確かに参考にはなったのだけれど、これは主に「妻に子どもを連れて家を出られた夫側」の視点にたった日本在住アメリカ人弁護士による本だ。つまり、「保育園からの連れ去り」ではなく「日本への連れ去り」がテーマなのである。

私はDV・モラハラ被害を受けて、更には夫に「出ていけ」と何度も言われ、子どもと自分を守るために家を出たけれど、夫の側では「妻が子を連れて勝手に家を出た」と主張した。被害者意識しかない夫側では私が子どもを連れ去ったと思っているから、この本を加害者である夫も同じように手にとっている可能性があるな、と思いながら読み進めた。

著者は「本来は子どもを守るはずの裁判所が、そのつもりはないかもしれないが、離婚事件等における裁判運用で子どもの連れ去り・親子の引き離しを助長し、場合によっては肯定までする一種の「拉致司法」が形成されているのではないか」と問題を提起している。

エピソードとして語られていた外国人男性が子どもと引き離されるに至った経緯は痛ましく、同情できるものであり、確かに国際結婚における離婚問題を考えさせるものではあった。自分自身のことについて落ち着いてきたらこんな本を読んで少し視野を広く持つのも良いかもしれないけれど、保育園からの連れ去りを恐れている人向けの本ではないことを記しておきます。

裁判官や検察官がいい加減で悪意ある人々だからではなく、むしろ善意の良識ある人々だから起こったのだと思う。子どもをめぐる事件でも同様である。善意の良識ある人々の思い込み、誤解などによって事が変な方向に行ってしまっても、そのチェック機能が日本の裁判制度にほとんどないことが、問題の原因の一つであると思う。(『子どもの連れ去り問題ー日本の司法が親子を引き裂く』)

子どもの連れ去り問題?日本の司法が親子を引き裂く (平凡社新書)

子どもの連れ去り問題?日本の司法が親子を引き裂く (平凡社新書)